キオスク版って何?
2004年9月の終わり頃、 フランス中の、キオスクと呼ばれる街中の雑誌スタンドで売り出された6.5ユーロの廉価版。
それが一般に、Siberie M'etait Conteeeキオスク版とよばれる版であり、このサイトで全ページのせてる原本です。
雑誌やテレビのインタビューによると、朝起きてキオスクにいき新聞を買う、そのありふれた行為。
そんな気軽さでこの本が手に取られて読まれる。それをやってみたとのことです。
フランス中ではまるで号外が街を飛び交うごとく売れ、6万以上の数が完売するのはまるで風にちらされる紙のようだったそうです。特にパリでの入手困難はマヌのサイトのフォーラムでも話題になっていました。
なお完全版はその5週間後に全国の書店やレコード屋にて平積み状態で発売され、チャートを一気に駆け上がりました。
このサイトでは、このキオスク版をもとにしています。
日本では高額での発売となってしまっておりますが、せめてこのサイトで見て、実際に買う方の参考になるなりあるいは、買わなくともマヌ・チャオが生み出した言葉とウォズニアクの音楽溢れる絵の世界を伝えることを目標にしています。
各ページに、日本語を置いています。仏語版にマウスを置いて頂ければ出てくるようにしました。 画像の質を落とさないために、各ページはある程度の重さとなっております事をご了承ください。
画像上に日本語を置く事でページの雰囲気を壊す恐れがありそうな、いくつかのページでは、欄外に訳語を置いてあります。
また、やはり歌う人の本でありCD付きの本ですので、どんな曲がどんなページと対応するのか、なるべく載せるようにしました。
各ページに配置されている曲は、いずれも、そのページの詩を歌詞に含むものです。
中には、複数のページの歌詞が一曲になっているものもありますが、なかなか対応しきれていない現状もあります。
それらは早急に解説をいれるようにします。
また、楽曲に興味をお持ちになられたら、CDなり本を購入される事を是非おすすめします。
マヌ・チャオについて
マヌはスペイン人の両親を持ちパリに育ったフランコ・エスパニョールです。父は名だたるジャーナリスト、ラモン・チャオ。
かつてマノ・ネグラというバンドのボーカルとして日本にも知られていました。パリのはずれで生まれ、パリの薄汚い小道の風景を描くような歌詞も豊富なこのバンドは、フランス・スペインで爆発的人気を誇り、とくに92年の南米ツアーでそのラテン的音楽の昇華とバンドの空中分解をも一気に迎るに至ります。いわゆるミクスチャとしての最大のディスクはその最後の盤CASA
BABYLONに特に強く感じられます(←超おすすめ )。
バンドの解散後マヌはスペインに住み南米を放浪しながら音楽を蓄えつづけ、2000年に発表したアルバムClanestinoは全世界で何百万枚という大ヒット作となります。続くソロ2段Proxima
Extacion ... ESPERANZAを発表し、バンドRADIO BEMBA SOUND SYSTEMをしたがえた数年に渡る世界中ツアーで全世界を熱狂に巻き込みます。その勢いは日本では2002年FUJI
ROCK FESTIVALに姿をあらわし、当時の音楽誌に、初めて聴いたがベスト・アクトであったとも言わしめています。
マノネグラ時代よりすでにスペイン語での楽曲発表がほとんどであり、Clandestino以降はポルトガル語やアラビア語まで駆使するマヌでしたが、今作では全編フランス語での発表でした。自身にとってフランス語はスペイン語や英語に比べて曖昧な言語だったというマヌは、このCDのためテレビでエディット・ピアフやジャーク・ブレルの研究もしてみたと言っています。またこの放浪の音楽家は、この制作のためにパリにこもっていたとのことです。 いつも街の小径を放浪し続けるマヌはパリでも、街のルンペンと酒を呑んだりします。ある晩そうしているときあるルンペンが、立ち上がってヴィクトール・ユゴーの詩を完璧に暗唱してマヌに「あなたのために」と言った。そしてマヌは何も知らない自分を恥じてしまった。そんなエピソードも、この製作中にあったとのこと。汚い裏側ばかり歌ってしまうため反面それを嫌う人も出てくる作家ではありますが、本作ではこの人のそんな部分が全て愛らしくまた詩的に表現されているとわたしは思います。
マヌは今年12月以降ふたたび一大ツアーに出るとの事ですので、是非日本に立ち寄ってくれる事を祈ってやみません。
さて、最後に、訳にあたっての個人的な雑感をのべさせてください。
世界中にその言語圏を持つフランス語やスペイン語、英語と全く違い、わたしたちの日本語はいちどこの国を飛び立つと全く通じません。それは私たちのもつ、ある種の国境とわたしはとらえました。言語と言うリミットを超えられる風を起こしてみたい。マヌは数カ国語をあやつることで風となりました。私たちもその風の一陣でも仰いでみたい!
かるがると国境を越える風のようにはわたしは自由に言語をあやつるものではないのですが、その思いだけは強くこのサイトを作るにいたりました。
完全版は量がおおすぎるため、いったんキオスク版での公開となってしまいましたが、今後は完全版にとりかかる予定です。完成は数ヶ月後となってしまうかもしれませんが、其の時又ご覧頂けたら幸いです。なぜならばこの完全版はより具体的でよりエネルギッシュで、よりロマンチックだからです!全てのページから彼らのエネルギーが感じられる本当にすばらしい本!あの辛口批評の国フランスのアマゾン・レビューでも、この本には五つ星連発なのですから。
著作権侵害にあたっては、一応、メニルモンタンで本人に出くわした時に口頭で了承を得ました。その寛大さに多いに感謝します。しまくります。
パリで、チンピラだらけでイヌの糞があっちこっちにあって色んな人種がべらべらしゃべっているあの喧噪、マヌ・チャオという人の視点から広がる世界とそのひらめきが少しでも伝わる事をいのりつつ。
以上、簡単ながらこのサイトの概略的説明に変えさせて頂きます。
お読みいただきまして、ありがとうございます。